(平成28年11月14日)平成28年11月11日に改正政省令が公布されました。内容としては改正案のとおりとなっています。

改正社会福祉法の施行に伴うに関係政省令の改正案が公表されました。平成28年10月26日までパブリック・コメントを実施し、10月下旬〜11月を目途に公布される予定とのことです。

改正案の主な内容は次のとおりです。

評議員・役員関係

評議員数に関する経過措置

評議員数に関する経過措置(3年間は4人以上とするもの)の対象となる法人の基準が、平成27年度決算(平成28年3月31日)において収益4億円(※)を超えない法人とされています。

(※)法人単位事業活動計算書のサービス活動収益計

評議員等と特殊の関係を有する者

特殊の関係があることにより評議員・役員になることが制限される者について、次のように規定されています。
・評議員・役員と事実婚の関係にある者
・評議員・役員の使用人となっている者
・評議員・役員から受ける金銭等によって生計を維持している者
・評議員・役員が役員等である団体の役員・職員(1/3を超える場合)
・評議員・役員が他の社会福祉法人の評議員である場合、当該社会福祉法人の役員・職員(1/2を超える場合)

議事録記載事項

評議員会および理事会に関する議事録の記載事項が規定されています。


監事監査関係

監事による監査

監事による監査報告書の記載事項が次のとおり規定されています。

<計算書類等の監査>

会計監査人を設置していない法人の場合は、監事が自らすべての必要な調査を行う必要がありますが、会計監査人を設置している法人の場合、監事は会計監査人の監査が適切かどうかを評価することで、手続を省力化することができます。

会計監査人を設置していない法人 会計監査人を設置している法人
・監事の監査の方法およびその内容
・計算書類等が適正かどうかについての意見


・必要な調査ができなかったときは、その旨およびその理由
・追記情報(説明が必要な事項または強調する必要がある事項)
・監査報告書作成日
・監事の監査の方法およびその内容
・会計監査人の監査の方法または結果を相当でないと認めたときは、その旨およびその理由
・重要な後発事象
・会計監査人の職務の遂行が適正に実施されることを確保するための体制に関する事項
・必要な調査ができなかったときは、その旨およびその理由

・監査報告書作成日


<事業報告等の監査>

・監事の監査の方法およびその内容
・事業報告等が法人の状況を正しく示しているかどうかについての意見
・理事の職務遂行に関し不正行為または法令・定款違反の重大な事実があったときは、その事実
・必要な調査ができなかったときは、その旨およびその理由
・内部管理体制の整備・運用状況に関する事項がある場合、当該内容が相当でないと認めるときは、その旨およびその理由
・監査報告書作成日


会計監査人関係

会計監査人設置の基準

会計監査人の設置が義務付けられる社会福祉法人は、前年度決算において収益30億円(※)または負債60億円(※)を超える法人とされています。(対象法人の範囲拡大予定については→こちら

(※)法人単位事業活動計算書のサービス活動収益計、法人単位貸借対照表の負債の部合計

なお会計監査人設置義務のある法人は、内部管理体制の整備に関する基本方針を理事会で決定する必要があることに注意が必要です。

会計監査人による監査

会計監査人の監査報告書には次の事項を記載するものとされています。
・会計監査人の監査の方法およびその内容
・計算書類等が適正かどうかについての意見
・意見がないときは、その旨およびその理由
・追記情報(説明が必要な事項または強調する必要がある事項)
・監査報告書作成日


内部管理体制関係

内部管理体制

一定規模以上の法人において整備が必要とされている内部管理体制は、次のような体制であることが規定されています。

①理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
②理事の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
③損失の危険の管理に関する規程その他の体制
④理事の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
⑤職員の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
⑥監事がその職務を補助すべき職員を置くことを求めた場合における当該職員に関する事項
⑦⑥の職員の理事からの独立性に関する事項
⑧監事の⑥の職員に対する指示の実効性の確保に関する事項
⑨理事及び職員が監事に報告をするための体制その他の監事への報告に関する体制
⑩⑨の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
⑪監事の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
⑫その他監事の監査が実効的に行われることを確保するための体制

決算関係

決算スケジュール

決算関係のスケジュールに関して、次のように具体的な期限が規定されました。

<計算書類等>

会計監査人を設置していない法人 会計監査人を設置している法人
会計監査人から理事・監事への監査報告 次のいずれか遅い日
・計算書類の受領日から4週間
・附属明細書の受領日から1週間
・理事、監事、会計監査人の間で合意により定めた日
監事から理事(・会計監査人)への監査報告 次のいずれか遅い日
・計算書類の受領日から4週間
・附属明細書の受領日から1週間
・理事および監事が合意により定めた日
次のいずれか遅い日
・会計監査人の監査報告日から1週間
・理事、監事が合意により定めた日


<事業報告等>

監事から理事への監査報告

次のいずれか遅い日
・事業報告受領日から4週間
・附属明細書の受領日から1週間
・理事および監事が合意により定めた日

計算書類の承認の特則

会計監査人を設置している法人において、評議員会における計算書類の承認を不要とする要件が次のとおり規定されています。
・会計監査人の監査報告が無限定適正意見である(計算書類等が限定事項無しで適正であるとする意見)
・監事の監査報告において会計監査人の監査の方法または結果を相当でないと認める意見がない
・監事の監査報告が期限内に行われている

事業報告および附属明細書の記載事項

事業報告には次の事項を記載することとされています。
・当該社会福祉法人の状況に関する重要な事項
・内部管理体制の整備についての決定または決議の内容の概要
・内部管理体制の運用状況の概要

また附属明細書には、事業報告の内容を補足する重要な事項を記載することとされています。

財産目録

財産目録について、評議員会の承認が必要とされています。なお、計算書類について評議員会承認が不要である場合は理事会承認までとなります。

現況報告書等の備置・閲覧

会計監査人に関する事項、社会福祉充実残額、社会福祉充実残額の算定根拠、社会福祉充実計画の状況等が新たな閲覧対象情報として追加されています。

また、定款において事業計画を作成する旨を定めている場合には、事業計画についても備え置き、閲覧に供することとされています。

役員等報酬基準

役員等の報酬基準においては、役員等の勤務形態に応じた報酬等の区分およびその額の算定方法、支給の方法および形態に関する事項を定めるものとされています。

社会福祉法人等の資産の総額の変更に係る登記の期限の変更

資産の総額に変更があったときの変更登記の期限が延長され、事業年度末日から3ヵ月以内となります(現状は2ヵ月以内)。


社会福祉充実計画・充実残額関係

社会福祉充実計画

社会福祉充実計画について、
・承認申請、変更承認申請、軽微な変更の届出、終了承認申請に必要な書類
・計画への記載事項(法人の基本情報、資金計画、実施事業の検討結果、事業区域住民等の意見聴取結果、その他)
・計画の変更に当たって、所轄庁の承認を要さず、届出のみで足りる軽微な変更事項(事業の種類、実施地域、実施期間、その他重要な変更以外のもの)
などの基本的事項が規定されています。(詳細については通知に記載)

事業費および充実残額について意見を聴かなければならない者は、公認会計士、税理士、監査法人、税理士法人とされています。

控除対象財産額

控除対象財産額を算出するために合計する財産として、事業の継続に必要な財産(社会福祉事業等の実施に必要な財産、当該財産のうち固定資産の再取得等に必要な額に相当する財産及び最低限必要な運転資金)が規定されています。(詳細及び係数については通知に記載)


財務諸表等開示システム関係

財務諸表等開示システムによる届出・公表

計算書類等および財産目録等の所轄庁への届出について、平成29年6月本格稼働予定の「社会福祉法人の財務諸表等開示システム」により電子的に行う方法が規定されました。

また、インターネットにより公表が必要とされる書類は、計算書類、現況報告書、役員等報酬基準、定款とされ、「社会福祉法人の財務諸表等開示システム」により公表されている場合には、それをもって公表を行ったものとみなすことができるとされています。

加えて、都道府県が調査・分析を行う事項、国・都道府県・市の間で共有する情報などが規定されています。